リュシアス
Lysias
ギリシア語 · 弁論・修辞学 · 弁論 · 弁論; 科学・哲学 · 政治学
32 作品 · 8,823 対訳文
第八弁論 講仲間内部の中傷に対する非難
Accusation of Calumny本作は、表向きは友人として振る舞いながら裏で中傷を繰り返していた者たちの欺瞞を暴き、彼らとの決別を宣言する弁論である。前半では、語り手が「友人」たちの不実な態度を告発し、対立の契機となった馬の担保取引をめぐる金銭トラブルの経緯が具体的に説明される。後半において語り手は、対立者たちが用いる詭弁や中傷の矛盾を鋭く追及し、彼らが自らの行為によって自らを貶めていることを論証する。最終的に、語り手はこれ以上不毛な人間関係にとどまることを拒否して決別を宣言し、残された者たちが互いに反目し合って自滅するであろうことを予言して締めくくる。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-10–§11-20253 対訳文読む →第十四弁論 アルキビアデスの戦列離脱告発
Against Alcibiades 1本作は、古代アテナイの著名な政治家アルキビアデスの同名の息子(アルキビアデス・ジュニア)に対する、軍務忌避(アストラテイア)の罪を告発する法廷弁論です。原告は冒頭で、被告が重装歩兵としての兵役義務を放棄し、資格審査を経ずに不法に騎兵として従軍した点を厳しく指摘します。続いて、特権的な家柄や有力な支援者に依拠して無罪を勝ち取ろうとする被告側の態度を批判し、被告自身の放蕩や不道徳な私生活を暴いていきます。さらに、高名な父親がかつて国家アテナイに対して犯した裏切り行為や家系の不名誉を列挙し、被告の一族がアテナイの「父祖伝来の敵」であることを強調します。最終的に、原告は個人的な恩情や影響力をすべて排し、厳格な法執行による有罪判決を下すよう陪審員に強く求めて弁論を締めくくります。
弁論・修辞学5 チャンク · §1-9–§38-47408 対訳文読む →第十五弁論 アルキビアデスの兵役忌避告発
Against Alcibiades II本作は、古代アテナイの政治家アルキビアデスの同名の息子(小アルキビアデス)を、不従軍および不法な騎兵従軍の罪で告発する法廷演説です。原告は裁判員に対し、被告を不当に庇おうとする将軍たちの介入を退け、法に基づく公正な判決を下すよう強く懇願します。演説の中では、将軍たちが私的な情実や影響力を用いて裁判を歪めようとしている現状が厳しく批判されます。原告は、個人の特権や有力者の懇願よりも市民社会の法秩序を優先すべきであることを主張し、被告に有罪判決を下すよう求めます。法廷における正義の実現と民主政の原則の遵守を訴える、簡潔ながらも力強い弁論となっています。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-1291 対訳文読む →第六弁論 アンドキデスの瀆神行為告発
Against Andocides本作は、エレウシスの秘儀やエルメス神像破壊といった不敬事件に関与したアテナイの政治家アンドキデスを激しく告発し、厳罰を求める法廷弁論です。演説者は、アンドキデスがアテナイの神聖な儀式と法を汚したことを指摘し、不文法(アグラポス・ノモス)に従って厳格に処罰すべきだと主張します。続いて彼の過去の不敬な罪業を列挙し、彼が各地を流浪した悲惨な遍歴は神罰の現れであると強調します。さらに、彼が主張する和解条約の適用などの自己弁護を徹底的に退け、彼の軍事・市民活動における無貢献さを批判します。最後に演説者は、アテナイの陪審員たちに対し、神々の怒りを避け国家の清浄さを保つために、彼を毅然と断罪することを強く促します。
弁論・修辞学5 チャンク · §1-11–§45-55616 対訳文読む →第三十二弁論 ディオゲイトン告発
Against Diogeiton本作は、古典期アテナイにおける親族間の遺産横領をめぐる法廷弁論です。原告は二人の孤児の親戚であり、孤児たちの祖父および叔父にあたる被告ディオゲイトン(Diogeiton)の不義を告発します。弁論の冒頭では、ディオゲイトンが子供たちの父親から委託された多額の遺産を横領し、さらに子供たちを家から無情に追い出した経緯と複雑な家族関係が語られます。中盤では、親族が集まった調停の席で子供たちの母親がディオゲイトンの非情さを激しく非難し、原告が具体的な数字を用いて彼のずさんな経費計算と資産隠蔽を暴いていきます。終盤にかけて、共同トリエラルキア(trierarchia)や葬儀費用の二重請求など、彼のさまざまな詐欺行為が証明され、一般的な生活費の試算から莫大な遺産が残っているはずであると立証されます。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-11–§21-29309 対訳文読む →第二十七弁論 エピクラテスとその同行使節団告発
Against Epicrates and His Fellow Envoys本作は、アテナイの使節であったエピクラテスとその同僚たちを相手取り、使節任務中の汚職と国庫横領の罪を追及する法廷弁論です。告発者は、被告たちが国家の利益を売り渡して不当な富を築いた一方で、国を窮乏に陥れたことを厳しく批判します。弁論の前半では、使節たちの腐敗行為が暴かれ、国家を欺いた有力者たちに死刑を宣告することこそが、将来の汚職に対する強力な見せしめになると主張されます。後半において弁論者は、被告らの身内が同情を引くために行う嘆願に惑わされないよう裁判官たちに強く警告します。最終的に、私情を排して国家の法と正義を優先し、毅然とした有罪判決と厳罰を下すよう陪審員たちに訴えかけて結ばれます。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-8–§9-16158 対訳文読む →第二十八弁論 エルゴクレス告発
Against Ergocles本作は、古代アテナイの将軍スラシュブロスの部下であったエルゴクレス(Ergocles)の汚職と裏切りを糾弾し、アテナイの市民法廷で厳罰を求める法廷弁論です。演説者はまず、エルゴクレスが遠征中に公金を横領し、同盟国から不当な搾取を行った具体的な罪状を厳しく告発します。後半にかけては、被告がかつて三十人政権に対抗した民主派としての功績を盾に、無罪や減刑を勝ち取ろうとすることを強く牽制します。弁論者は、過去の功績が現在の国家反逆や汚職の免罪符にはならないと主張し、陪審員たちに対して同情を排するよう訴えます。最終的に、この裁判での厳格な判決が他の公職者に対する強い警告となるべきであることを説き、被告への極刑を求めて演説を締めくくります。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-9–§10-17135 対訳文読む →第三十弁論 二コマコス弾劾
Against Nicomachus本弁論は、古代アテナイにおいて法律記録官(アナグラペウス)の職を務めたニコマコスに対し、職務の濫用や法律の不当な改ざんの罪を追及する弾劾演説です。告訴人はまず、ニコマコスが任期を超えて記録官の地位に留まり、法律を勝手に書き換えたうえに職務の監査を免れている不正を告発します。さらに、彼が過去に民主政転覆の陰謀に加担して政治家クレオポンを死刑に追いやった悪行を暴露し、自身へ向けられるであろう反論に対して先手を打ちます。また、被告が国家財政を顧みずに高額な犠牲祭の規定を新設して国家を窮地に陥れ、宗教的な不敬を犯したことも非難されます。最後に告訴人は、ニコマコスのために減刑を求める有力者たちの懇願を排し、国家に多大な害悪をもたらした被告に対して陪審員たちが厳格かつ公正な有罪判決を下すよう強く要求して演説を締めくくります。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-8–§26-35348 対訳文読む →第二十三弁論 パンクレオン告発
Against Pancleon本作は、パンクレオンという人物の身分をめぐってアテナイの法廷で下された弁論です。話者は当初、パンクレオンを居留外国人(メトイコス)とみなして訴訟を起こしましたが、被告側は自身がアテナイの特権的な同盟者であるプラタイア市民であると主張しました。これに対して話者は、デケレイア区の住民やプラタイア人のコミュニティ、さらには市場で綿密な身元調査を行います。その結果、パンクレオンが実際にはある主人から逃亡した奴隷であるという有力な証言を得るに至りました。後半では、彼を奴隷として連れ戻そうとした際に起きた暴力的な奪還騒ぎや、彼が関わった過去の訴訟での不自然な態度、さらには敵対的なテーバイへの移住という事実が提示されます。話者はこれらの証拠を積み重ねることで、パンクレオンがプラタイア市民でも自由人でもないことを強く主張し、弁論を締めくくっています。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-8–§9-16164 対訳文読む →第二十九弁論 ピロクラテス告発
Against Philocrates本作は、公金横領の罪で処刑された将軍エルゴクレスの友人、フィロクラテスを被告とするアテナイの法廷弁論です。原告(弁論者)は、被告がエルゴクレスの不正な財産を隠匿し、国家に返還せず私物化していると告発します。弁論の中で、二人の極めて親密な関係や、かつて貧しかった被告が急激に富を築いた不自然さが証拠として提示されます。さらに、もし被告が無罪となれば、国家の財産が失われたままになり、正義が損なわれると陪審員に警告します。最終的に弁論者は、国家の財産を回収し法を維持するために、被告への厳罰を強く求めて議論を締めくくります。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-14144 対訳文読む →第三十一弁論 ピロンの資格審査への反対弁論
Against Philon本作は、古代アテナイにおける評議員の資格審査(ドキマシア)において、フィロンという人物の不適格性を告発する法廷弁論です。演者はまず、国家の重大な危機において自己の安全を最優先したフィロンの不忠誠な態度を非難し、彼を告発するに至った公的な動機を説明します。続いて、アテナイが困難な状況にあった際、フィロンがオロポスへ逃亡して在留外人となり、市民としての義務を完全に放棄した事実を暴きます。さらに、彼が田舎の貧しい市民から略奪を働き、実の母親からも埋葬を拒まれるほど不信を買っていたという私的な非道さをも暴露します。「不参集を禁じる法律はない」というフィロン側の自己弁護に対し、演者はその罪の重さゆえに法さえ想定していなかったのだと反論し、評議会へ彼の不合格処分を強く要求して弁論を閉じます。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-8–§27-34329 対訳文読む →第三弁論 シモンに答える弁明
Against Simon本作は、古典期アテナイにおける愛執の葛藤とそれに伴う法廷闘争を扱った法廷弁論です。話者は、プラタイア出身の少年テオドトス(Theodotos)をめぐり、対立するシモン(Simon)から「計画的傷害(プロノイア)」の罪で訴えられており、自らの無実を証明するために弁明を行います。冒頭で話者は、シモンが自らの暴挙を棚に上げて自身を告発した不当性を訴え、事件の経緯を語り始めます。中盤では、少年をめぐる小競り合いと暴力沙汰の真相が詳細に明かされ、さらにシモンが主張する金銭契約の虚偽が、彼の財産状況などを根拠に論理的に駁されます。後半では、多数の人がいる場所へ単身で襲撃することはあり得ないとして、「計画的犯行」という告発の不条理さを指摘します。最後に話者は、アテナイにおける計画的傷害罪の本来の法意を説明するとともに、シモンの素行の悪さを暴露し、自らの祖国への貢献を訴えて無罪判決を求めます。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-11–§38-48449 対訳文読む →第二十二弁論 穀物商人告発
Against the Corn Dealers本作は、古代アテナイにおける穀物の不法な買い占めと価格操作を行った穀物商たちを告発する弾劾弁論です。原告はまず、評議会において穀物商たちを告発するに至った経緯を説明し、被告に対する直接の尋問を開始します。「役人の命令に従って買い占めた」という被告側の釈明に対し、原告はそれが虚偽であることを厳しく論駁します。続いて、穀物商たちが結託して一日のうちに価格を吊り上げ、アテナイの食糧危機に乗じて不正な利益を貪っている邪悪な実態を暴露します。最後に、市民の生活と正当な輸入商人の利益を守るためには、被告らに対して有罪判決を下すことが不可欠であると陪審員に強く訴えかけます。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-11–§12-22228 対訳文読む →第三十四弁論 アテナイの父祖の国制を破壊すべきでないこと
Against the Subversion of the Ancestral Constitution of Athens本作は、ペロポネソス戦争後のアテナイにおける急進的な国制改革案、特に市民権を土地所有者に限定しようとする提案に反対して行われた政治演説です。演説者は、一部の市民から市民権を奪うことが、アテナイ社会の深刻な分断を招くと警告します。彼は、全市民の団結こそが国家の自立と自由を守るための最大の武器であると力説します。そして、提案された制限案が結果としてアテナイを弱体化させ、外敵の脅威に晒すことになるという主戦論を展開します。最終的に本作は、伝統的な民主政(デモクラティア)の維持と、市民全員による連帯の重要性を強く訴えかけています。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-11108 対訳文読む →第十弁論 テオムネストス告訴 その一
Against Theomnestus 1本作は、原告が自身を「父親殺し」と中傷したテオムネストスを名誉毀損で告発する裁判の弁論です。被告は、法律が禁じている特定の語を直接使用していないとして無罪を主張します。これに対し原告は、法の解釈においては字面そのものではなく、立法者の意図(ディアノイア)を重視すべきだと強く反論します。原告はソロンの古い法律に記された難解な古語を例に挙げ、言葉の文字通りの解釈に固執することの不合理さを論理的に暴いていきます。後半では、三十人僭主政権下で悲劇的な最期を遂げた亡き父の功績を回顧し、被告の中傷が家族の尊厳を著しく傷つけるものであると訴えて、陪審員に有罪判決を求めます。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-10–§22-32334 対訳文読む →第十一弁論 テオムネストス告訴 その二
Against Theomnestus 2本作は、古代アテナイの法廷を舞台に、原告が被告テオムネストスを侮辱罪で訴えた法廷弁論です。原告は、被告から「父親殺し」という身に覚えのない中傷を受けたとして立ち上がります。原告はまず、父親が亡くなった当時の自身の年齢から見て、犯行が物理的に不可能であったことを論証します。さらに議論の中心は法律の文言解釈へと移り、被告が「法が禁じる『人殺し』という言葉は使っていない」と釈明することに対し、原告は「父親を殺した」と言うことは「人殺し」と呼ぶことと同義であると反論します。言葉の文字通りの意味にとらわれず、法の精神と実質的な意味を重視すべきだと訴える、法解釈をめぐる緊迫した弁論です。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-12160 対訳文読む →第二十一弁論 収賄罪に問われた某市民の弁明
Defence Against a Charge of Taking Bribes本作は、賄賂を受け取った容疑で告発されたアテナイ市民が、法廷で自らの無罪を主張する弁論です。演者は、容疑に対する直接的な反論よりも、これまでに国家に対して自発的に行ってきた多大な公共奉仕(レイトゥルギア)や三段櫂船艤装の実績を具体的に列挙することで、自らの愛国心と市民としての適格性を強くアピールします。中盤では、これらの莫大な財政的貢献や海戦での戦功を根拠に、財産没収を免れるよう懇願し、自身の模範的な態度を強調します。最終盤では、公私における清廉な生き方を裁判員に振り返るよう促し、国家を害したことのない自分が有罪となる不当性を訴えて無罪を求めます。国家への貢献を最大の弁護論拠とする、当時のアテナイ法廷の慣行を象徴する作品です。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-10–§19-25229 対訳文読む →第二十五弁論 民主政転覆の罪に対する弁明
Defense Against a Charge of Subverting the Democracy本作は、三十人政権(過頭政)から民主政へと復興したアテナイを舞台に、過頭政下で市に留まったことで民主政転覆の陰謀を疑われた被告が、自身の無罪を主張する法廷弁論です。被告はまず、特定の政体への忠誠は生まれつきのものではなく各々の利益に基づくとし、自身の清廉な実績と過去の十分な公共奉仕を挙げます。そして、真に罰すべきは単に生き延びた市民ではなく真の犯罪者であると論じ、告発者たちの不当な意図を暴きます。最後に被告は、かつての誓いを遵守し、市民の相互猜疑心を排して和合を保つことこそが国家の不利益を防ぐ唯一の道であると訴え、陪審員の公正な判断を求めます。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-9–§26-35320 対訳文読む →第七弁論 聖オリーブ樹の木株についての弁明
Defense in the Matter of an Olive Stump本作は、自身の所有地にあった神聖なオリーブの切り株を破壊した罪で起訴されたアテナイ市民が、法廷で行う自己弁護の弁論です。告発者からの不当な訴えに対し、被告はまず、土地の所有権の変遷や戦争の混乱を振り返り、土地を取得した当初からその場所に切り株など存在しなかったことを論証します。続いて、白昼堂々そのような犯罪を犯して周囲に露見するリスクを冒す合理的な動機が自分にはないことを主張し、目撃したと主張する原告が当時何も告発しなかった矛盾を突きます。さらに、原告が真実究明のための奴隷の拷問尋問(バサノス)を拒否した事実を挙げて、訴えの不当性を暴きます。最後に、自身が公共奉仕(レイトゥールギア)に尽力してきた愛国的で模範的な市民であることを強調し、無罪を訴えて弁論を締めくくります。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-11–§33-43375 対訳文読む →第五弁論 カリアスの聖財横領事件に関する弁明
For Callias本作は、アテナイの法廷において、カリアス(Kallias)という人物を告発から守るために行われた弁論です。弁者は被告人カリアスとの古い個人的な交友関係を明かし、彼の窮地を救うために弁護に立つ決意を表明します。訴訟の背景には奴隷による不当な密告があり、弁者はこの告発の不当性を強く主張します。彼は、奴隷の言葉を鵜呑みにして市民を告発することの危険性を説き、これが社会全体に及ぼす悪影響について裁判員に警告を発します。弁論は短いながらも、法的な正義と、密告がもたらす社会秩序の崩壊に対する強い懸念を訴えかけています。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-543 対訳文読む →第二十弁論 ポリュストラトスのために
For Polystratus本作は、前411年の四百人政権(寡頭制)への関与を疑われ、巨額の罰金を科されたアテナイ市民ポリストラトスの無実を、その息子が訴える法廷弁論です。弁論はまず、ポリストラトスが寡頭政権下で不当な利益を得るどころか、公職を誠実に務め、民主派の市民を救うために尽力した事実を明らかにします。また、悪名高い寡頭派指導者フリュニコスとの親密な関係という容疑を強く否定し、告発者たちの動機が私利私欲にあることを暴きます。後半では、被告の息子が自らの一族がアテナイ国家に捧げてきた多大な軍功や財政的貢献(レイトゥルギア)を具体的に列挙します。最後に、国家への揺るぎない忠誠とこれまでの功績を顧みるよう陪審員に訴え、父への寛大な判決を求めて弁論を締めくくります。
弁論・修辞学4 チャンク · §1-10–§29-36406 対訳文読む →第二十四弁論 身体障害者給付金差し止めの提訴に答えて
For the Disabled Man本作は、古代アテナイにおいて身体障害者が国からの扶助金(年金)の受給資格を守るために行った法廷弁論です。ある貧しい障害を持つ市民が、自らの受給資格を剥奪しようとする告発者に対し、アテナイの評議会で自己弁護を行う形式をとっています。弁論の冒頭で被告は、告発者の悪意と嘘を暴き、自身の生活の困窮と身体の不自由さを切実に訴えます。続く中盤では、告発者が指摘する「馬に乗っていること」や「傲慢であること」という非難に対し、乗馬は歩行の困難を補うための現実的な手段にすぎないとユーモラスかつ論理的に反論します。最後に、自身の店に素行の悪い者が集まっているという告発をアテナイの一般的な社会習慣を持ち出して退け、自らの民主政への忠誠を強調して受給の継続を訴えます。本作は、当時の社会福祉制度の実態と、偏見に対抗する庶民の強さと機知を鮮明に描き出しています。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-9–§19-27275 対訳文読む →第九弁論 兵役登録者のために
For the Soldier本作は、アテナイの法廷において、不当な兵役登録とそれに伴う罰金をめぐって起訴された被告が自らの無実を訴える弁論です。被告はまず、原告たちが本来の争点を避け、自らの私生活や素行を不当に中傷していると非難します。続いて、彼に課された不条理な兵役登録の経緯と、その後に財務官たちによって罰金が免除された事実を説明し、法的正当性を主張します。さらに、原告らとの対立の背景には、かつての有力者ソストラトスとの交友関係に起因する私怨(エクトラ)があると明かします。最後に、有罪判決が下されれば自身は市民権を失い国外逃亡を余儀なくされると訴え、裁判員に対して公正な判決を下すよう懇願して結ばれます。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-12–§13-22168 対訳文読む →第二弁論 コリントス戦争の援軍として斃れた戦士への葬礼弁論
Funeral Oration本作は、国家のために命を捧げたアテナイの戦死者たちを追悼し、その不滅の徳を称える演説です。演説は、アマゾン族の撃退やテーバイ遠征における遺体回収といった神話的時代のアテナイの正義と、地生え(オートクトニア)という高貴な出自から説き起こされます。続いて、民主政のもとで団結したアテナイ人が、マラトンの戦いやサラミスの海戦などのペルシア戦争において、ギリシア全体の自由のために果たした偉大な犠牲と勝利の歴史が熱く語られます。さらに、近年の民主政復興やコリントス戦争に至るまで、彼らが一貫して正義のために戦い抜いたことが示されます。結末では、遺された親族の深い悲しみへの共感と彼らを支える市民の義務が説かれ、死を克服して不死の栄誉を得た戦死者たちへの祝福と哀悼をもって締めくくられます。
弁論・修辞学8 チャンク · §1-8–§72-81588 対訳文読む →第十六弁論 評議会において資格審査を受けるマンティテオスの弁明
In Defence of Mantitheus本作は、アテナイの青年マンティテオスが、公職の資格審査(ドキマシア)において自らの身の潔白と適性を証明するために行った弁明演説である。告発者から、かつての三十人僭主政権下で親政権派の騎兵として活動したという嫌疑をかけられたのに対し、彼は当時にアテナイにいなかった事実や公的記録の不備を挙げてこれを断固として否定する。さらに、私生活における誠実さや節度ある態度を強調し、自身の高潔な人格を主張する。演説の後半では、民主政復帰後の軍務において危険を顧みず最前線で戦った功績や、困窮した戦友への自発的な資金援助など、国家への献身的な行動を詳述する。最後に彼は、外見や若さに対する偏見ではなく、実際の功績と行動によって判断されるべきだと訴え、若輩ながら国政に発言する真意を説明して審判者に公正な判断を求める。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-11–§12-21200 対訳文読む →第三十三弁論 オリュンピア大祭弁論
Olympic Oration本作は、オリンピア競技会の開催地に集まったギリシア人たちに向けて、ポリス間の内紛を止め、外敵に立ち向かうための団結を訴える弁論である。語り手はまず、ヘラクレスがこの競技会を創設した本来の精神、すなわちギリシア人同士の友愛と団結の促進に立ち返るよう促す。続けて、当時のギリシアが内紛によって疲弊し、東のペルシア帝国や西のシケリアといった強大な外敵の脅威に晒されている危機的状況を鋭く告発する。そして、ギリシア人が互いに争うのをやめ、自由と主権を守るために共同で立ち上がるべきだと主張する。最後に、ギリシアの伝統的な指導者であるスパルタ人に対し、その責任を果たして団結を主導するよう強く呼びかける。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-969 対訳文読む →第四弁論 計画的傷害事件について
On a Wound by Premeditation本作は、愛人の女性を巡る争いから生じた「意図的な負傷」の罪で告訴された被告人が、自身の無罪を訴える法廷弁論である。被告人と原告の男は、かつて一人の女性を共同で囲う合意を結び、諍いの後に一度は和解していた。しかし再び衝突が起き、原告が負傷したことで、計画的な傷害事件として裁判にかけられる。被告人は、相手が過去の和解や合意を否定している矛盾を突き、事件が突発的なものであり計画性はなかったと主張する。さらに、真相を知る奴隷の女性への拷問(バサノス)による尋問を相手が拒否したことを、自身の無実を示す決定的な証拠として提示する。最後に、相手の告訴が不当であることを強く訴え、陪審員に無罪判決を懇願して弁論を締めくくる。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-11–§12-20207 対訳文読む →第一弁論 エラトステネス殺害に関する弁明
On the Murder of Eratosthenes本作は、妻の姦通相手であるエラトステネスを殺害した夫ユーピレートスが、自らの無罪を主張する法廷弁論です。舞台は古代アテナイであり、被告人自身が裁判官たちに向けて語りかける形式をとっています。冒頭でユーピレートスは、平穏だった家庭環境と、妻が密通に至るまでの不審な経緯を詳細に明かします。さらに、ある夜に姦通の現場を押さえ、アテナイの法に則って不義の相手をその場で処刑した一部始終を語ります。彼は、相手側の「金銭目的の罠であった」という非難を退け、様々な関連法を引用しながら自身の行為の合法性を証明しようと試みます。最後に、事件には一切の計画性や個人的な怨恨がなく、ただ城邦(ポリス)の法を遵守した結果であることを強調し、公正な判決を求めます。
弁論・修辞学5 チャンク · §1-10–§39-50512 対訳文読む →第十九弁論 アリストパネスの財産について
On the Property of Aristophanes本作は、アテナイの市民法廷において、国家に没収されたアリストファネスの財産を隠匿したという疑いをかけられた姻戚の人物が、自身と家族の身の潔白を証明するために行なった法廷弁論です。語り手はまず陪審員に対して先入観を排して審理に臨むよう求め、亡き父のポリスへの多大な貢献を強調します。続いて、アリストファネスが公的な名誉を重んじて全財産を軍事遠征や奉仕活動に費やした経緯を詳述し、没収された財産が少額であった理由を説明します。さらに、コノンやアルキビアデスなどの高名な市民を例に挙げ、世間の財産に対する見積もりがいかに誇張され不確かであるかを論理的に示します。最後に、自身と父親がアテナイに対して行ってきた財政的・個人的奉仕の実績をアピールし、自身の財産が国家に没収されるよりも、無罪となって今後も国家に貢献し続ける方が有益であると訴えて、公正な判決を懇願します。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-11–§55-64637 対訳文読む →第十七弁論 不当に没収された財産について
On the Property of Eraton本作は、古代アテナイの法廷で行われた、国庫に没収された財産から債権を回収することを求める弁論です。原告は、相手方であるエラトンの父が原告の祖父から資金を借り入れたまま未払いであったという歴史的経緯を説明します。その後、エラトンの財産全体が国家の没収対象となったため、原告は自らの正当な債権を確保するためにその一部の返還を請求します。弁論では、借入の事実を裏付ける証拠や証言を提示しながら、請求の合法性と正当性が一貫して主張されます。最後に、国家の財政的利益を損なうことなく、市民としての正当な権利を保護するよう陪審員に公正な判決を求めて締めくくられます。
弁論・修辞学1 チャンク · §1-10125 対訳文読む →第十八弁論 ニキアスの兄弟の財産没収について
On the Property of Nicias' Brother本作は、古代アテナイの法廷において、著名な将軍ニキアスの一族が国家による不当な財産没収に抗議し、その保全を求める弁論です。弁論者はまず、自身の叔父ニキアス、父エウクラテス、いとこニケラトスらが、三十人政権の恐怖政治下で犠牲になりつつも、いかにアテナイの国家や民主制に忠実に貢献してきたかを熱弁します。続いて、一族の叔父ディオグネトスがたどった苦難の歴史を振り返り、現在の財産没収の企てが、アテナイ市民の和合と過去の誓約に反する不当なものであると訴えます。さらに、この訴追が告発者の私利私欲に基づくものであることを暴き、一族が国に尽くした犠牲と貢献を強調します。最後に弁論者は、陪審員に対して一族の無実を認め、寛大な判決をもって財産を守るよう強く懇願して弁論を締めくくります。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-9–§19-27181 対訳文読む →第二十六弁論 エウアンドロスの資格審査について
On the Scrutiny of Evandros本作は、古代アテナイの最高官職の一つであるアルコーン(執政官)に選出されたエウアンドロスに対し、その適格性を問う審査(ドキマシアー)で語られた告発演説です。演説者は冒頭、エウアンドロスが過去の不法行為や、かつて民主政転覆に関与した父親の悪行を隠蔽し、不当に審査を通過しようとしていると告発します。さらに演説者は、審査法の歴史的背景を紐解きながら寡頭派排除の重要性を説き、終身の特権を伴うアルコーン職には極めて厳格な適格性が求められるべきだと主張します。結びには、被告が自己弁護のために持ち出すであろう論点を先回りして論破し、その弁護人の不実をも暴露して、評議会に対して厳正な不適格判決を下すよう強く迫ります。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-8–§16-24254 対訳文読む →

