イソクラテス
Isocrates
ギリシア語 · 弁論・修辞学 · 弁論 · 修辞学・弁論術; 散文・その他文芸 · 教育
24 作品 · 8,297 対訳文
アイギナ弁論
Aegineticus本作は、亡き親友トラシュロコスの遺言に基づき、語り手が遺産相続の正当性を主張する法廷弁論です。舞台はアイギナ島であり、他国からの原告の女性が相続権を求めて異議を申し立てたことに対し、陪審員へ語りかける形式をとります。語り手はまず、トラシュロコスの家族と自身の長年にわたる固い友情の歴史を提示します。続いて、亡命の混乱期や病床における献身的な看病など、自身がいかに自己犠牲を払って親友の家族を支えてきたかを強調し、親族でありながら彼らを見放した原告側の不誠実さと対比させます。さらに、この遺言が地域の法律に完全に合致していることを論証します。最終的に、友情と法律の正当性を訴え、陪審員に公正な判断を求めて弁論を締めくくります。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-10–§44-51534 対訳文読む →カリマコスを駁す
Against Callimachus本作は、アテナイの三十人僭主政権崩壊後に結ばれた和解協定(アムネスティ)を背景とし、原告カリマコスによる不当な訴訟に対抗して被告が法廷で行った抗弁(パラグラペー)の演説です。語り手である被告は、すでに一度和解金によって解決した財産紛争であるにもかかわらず、カリマコスが陰謀を企てて再び巨額の訴訟を起こした経緯を説明します。弁論の主眼は、アテナイの平和と社会秩序の基盤である和解協定の遵守に置かれ、これが国家の国際的信頼に直結することが力説されます。さらに被告は、カリマコスの不実な人格を証明するために、彼が過去に重ねた卑劣な偽証や虚偽の殺人告発事件を暴き出します。最後に、自身が三段櫂船の維持などを通じて国家に捧げた多大な奉仕実績を誇りつつ、陪審員に条約の厳守と正義の執行を強く求めて弁論を締めくくります。
弁論・修辞学7 チャンク · §1-9–§59-68619 対訳文読む →エウテュヌスを駁す
Against Euthynus本作は、アテナイの法廷で争われた預かり金の返還をめぐる弁論です。依頼人であるニキアスは、三十人僭主政という動乱の時期に、自身の財産をエウテュノスに預けたものの、その一部を横領されたと主張します。弁論の前半では、当時の不穏な社会情勢や当事者たちの人間関係を詳細に分析し、エウテュノスが実際に横領を行ったこと、そしてニキアスの告発が真実であることを論理的に立証します。後半では、三十人政権下における二人の対照的な境遇に焦点を当て、エウテュノスが権力関係を利用して横領に及んだ動機を明らかにしています。当時のアテナイの政治的混乱を背景に、法と正義を訴える緊迫した構成となっています。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-10–§11-21208 対訳文読む →ロキテスを駁す
Against Lochites本作は、被告ロキテスから暴行(ヒュブリス)を受けた原告の市民が、法廷で厳罰を求めて行った弁論である。弁者はまず、身体に対する侵害が単なる財産犯罪よりもいかに重い罪であるかを、法制度や歴史的背景の観点から論じる。続いて、被告ロキテスの不遜な性格をかつての独裁政権(三十人僭主政)の支持者たちになぞらえ、彼の行為が民主的な秩序を脅かすものであると告発する。さらに、身体の安全は富者だけでなく貧者にとっても等しく保障されるべき権利であり、法の支配こそが民主政の基盤であることを強調する。最終的に、裁判員たちに対して、ロキテスへの厳しい判決を通じて真の正義と全市民の安全を示すよう強く訴えかける。
弁論・修辞学2 チャンク · §1-10–§11-22184 対訳文読む →ソフィストたちを駁す
Against the Sophists本作は、古典期アテナイの弁論家イソクラテスが、自身の教育方針を表明するとともに、当時のソフィストたちの欺瞞的な言論教育を批判した宣言的な著作です。著者はまず、未来の予知や美徳の伝授を約束しながら、安価な報酬を要求し弟子を信用しないソフィストたちの矛盾を暴き、彼らが哲学(ピロソピア)全体の評判をおとしめていると告発します。続いて、型通りのマニュアルで政治的弁論が教えられるとする立場を批判し、言論(ロゴス)の本質は状況に応じた創造的な性質を持つものであり、その修得には天分と実践が不可欠であると論じます。最後に、実戦に即さない法廷技術のみを教えていた従来の技術書執筆者たちを退け、自身の施す政治的弁論の教育こそが、生徒の正義や高潔な品格を育むものであると結論づけます。
弁論・修辞学3 チャンク · §1-8–§15-22194 対訳文読む →アレイオス・パゴス会演説
Areopagiticus本作は、アテナイの弁論家イソクラテスが、現状の繁栄の裏に潜む危機を警告し、国家の再建策を提示した政治的弁論です。著者は、現在のアテナイが直面する危機の原因を基本となる政体の欠陥に求め、ソロンやクレイステネスが築いたかつての優れた民主政に立ち戻るべきだと主張します。特に、かつて若者の教育や市民の道徳的監視を担い、国家の秩序を維持していたアレオパゴス評議会の権限と役割を再興することの重要性を説きます。彼は、この提案が寡頭政の擁護ではなく、祖先伝来の真の民主政への回帰であることを強調し、三十人僭主の過酷な支配と対比してその正当性を訴えます。最後に、現代の市民の道徳的堕落や国家の衰退を嘆きつつ、偉大な祖先の国制に回帰することこそがアテナイと全ギリシアを救う唯一の道であると結びます。
弁論・修辞学9 チャンク · §1-10–§76-84680 対訳文読む →ブシリス
Busiris本作は、ソフィストであるポリュクラテスの拙劣な弁論を批判し、正しい修辞技法の手本を示すために書かれた書簡体の弁論です。著者は、ポリュクラテスによる神話的なエジプト王ブシリスの弁護とソクラテスの告発が自己矛盾に陥っていると指摘します。その上で、著者は自ら正しい弁護の実例として、ブシリスを高貴な出自とエジプトの国制・法制度の優れた創始者として称賛します。特に、エジプトにおける職業の分業制度や祭司階級による学問の発展、そして人々の敬虔さを描き出します。さらに、世間に広まるブシリスの悪名が年代的矛盾をはらむ虚偽の神話であることを論証し、神々をおとしめる詩人たちを厳しく批判します。最後に、不適切な弁論が修辞学や哲学全体の評判をおとしめることを警告し、相手に謙虚な自己改善を促して締めくくられます。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-7–§42-50422 対訳文読む →競技戦車の四頭馬について
Concerning the Team of Horses本作は、若きアルキビアデス(子)が、かつて父がオリンピア競技で勝利した馬の所有権をめぐる訴訟において、原告テイシアスからの告発に対して自らを弁護する法廷弁論です。話し手は単なる金銭闘争にとどまらず、アテナイ史上名高い父アルキビアデスの名誉と生涯を擁護することに焦点を当てます。弁論の中盤では、父が政敵の陰謀によってスパルタへの亡命を余儀なくされた経緯や、その後のアテナイ民主政への貢献、さらにはペリクレスの後見やオリンピアでの輝かしい戦車競技の勝利といった数々の功績が語られます。父の僭主の野望を否定し、その不変の愛国心を証明したのち、話し手は原告側の不義を厳しく追及します。最終的に、自身が幼少期から被ってきた苦難を訴え、この訴訟が市民権剥奪(アティミア)に直面する死活問題であることを明かして、陪審員に同情と無罪の判決を求めて締めくくられます。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-9–§42-50433 対訳文読む →エウアゴラス
Evagoras本作は、キプロス島サラミスの王エヴァゴラスの死を悼み、その生涯と比類なき美徳を讃える追悼弁論です。著者はまず、従来の詩歌に代わって散文によって生身の人間を称賛することの困難さと意義を説きます。続いて、神話に連なる高貴な家系から生まれながらも流亡の身となったエヴァゴラスが、少数精鋭で王位を奪還する劇的な歴史が語られます。彼の統治は、知性と正義に満ちた内政だけでなく、アテナイとの同盟やペルシア帝国への対抗といった対外的な軍事的成功によっても特徴づけられます。結末では、有形の肖像画よりも言論による「徳の肖像(エイドーロン)」こそが不滅の価値を持つとされ、後継者である息子のニコクレスに対し、父の偉大な模範に従って自己を錬磨するよう促して締めくくられます。
弁論・修辞学9 チャンク · §1-10–§73-81587 対訳文読む →ヘレネ頌
Helen本作は、ギリシア神話に登場する絶世の美女ヘレネを主題とし、真の弁論と美の価値を追究する修辞学的演説(エピデイクセス)です。著者は冒頭で、不毛な論争や取るに足らない主題に終始するソフィストたちの安易な弁論を厳しく批判し、困難かつ高潔な主題を扱うことの重要性を説きます。続いて、ヘレネを称賛する導入として、彼女の美に魅了された英雄テセウスの卓越した業績と美徳を詳しく描き出します。さらに、パリスによる「美の審判」の妥当性を擁護し、トロイア戦争を「美」をめぐる東洋と西洋の歴史的衝突として位置づけます。最終的に、美は神々さえも魅了する至高の価値であり、ヘレネの美しさがギリシア人を団結させ、野蛮人に対する勝利をもたらしたことを論じて、彼女の神聖な恩恵を称賛します。
弁論・修辞学7 チャンク · §1-10–§60-69475 対訳文読む →ティモテウス宛書簡
Letter to Timotheus本作は、アテナイの弁論家イソクラテスが、ヘラクレアの若き支配者ティモテオスに宛てて送った書簡です。著者は、ティモテオスがその父よりも賢明に権力を行使していることを称賛し、君主のあるべき姿について具体的な助言を与えます。彼は、真に優れた君主が取るべき穏健な統治の重要性を説き、目の前にある恵まれた立場を徳(アレテー)のために生かすよう促します。その理想的な支配者の例として、メテュムナの賢明な統治者クレオッミスの先例が挙げられます。最後に著者は、この手紙を携えた使者アウトクラトールへの配慮を求め、変貌してしまったかつての知人とは異なり、ティモテオスとの間で変わらぬ友好関係が維持されることを願って書簡を締めくくります。
散文・その他文芸2 チャンク · §7#1–§7#2123 対訳文読む →ニコクレス
Nicocles or the Cyprians本作は、キプロス島の都市サラミスの王ニコクレスが、自らの臣民に向けて語りかける弁論の形式をとった作品である。冒頭では、人間の文明、法律、道徳を成立させる根源としての言葉(ロゴス)の価値が力強く擁護される。続いて、共和制に対する君主制の優位性が、意思決定の迅速さや歴史的な成功例を挙げて論証される。中盤では、ニコクレス自身が正当な血統を有すること、そして公私においていかに正義と節制の模範を示してきたかが語られる。後半から結末にかけては、王としての自らの歩みを踏まえ、市民たちに対して、私生活での節制、陰謀の禁止、王への忠誠といった具体的な義務を説く。最終的に、支配者への従順と市民の美徳こそが、国家の幸福と彼ら自身の繁栄をもたらすという調和的な関係を提示して締めくくられる。
弁論・修辞学8 チャンク · §1-8–§56-64592 対訳文読む →プラタイコス
Plataicus本作は、隣国テーバイによって都市を破壊されたプラタイアの使節が、アテナイの民会において祖国の再建と支援を訴える政治弁論である。語り手である使節は、テーバイの暴挙と不実な歴史を激しく告発し、アテナイこそが同盟国の自治と正義を守るために立ち上がるべきだと主張する。議論の中で使節は、テーバイが再びスパルタと同盟を結ぶという懸念を退け、目先の利害よりも正義や条約の遵守を優先することこそがアテナイの伝統であると強調する。さらに、故郷を失い困窮を極めるプラタイア市民の悲惨な現状を活写し、かつてペルシア戦争で共に戦った歴史的恩義やアテナイとの強い絆に訴えかける。最終的に演説は、正義に基づく領土の返還と公正な判決をアテナイ市民に懇願する、哀切に満ちた訴えで結ばれる。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-11–§53-63498 対訳文読む →アレクサンドロスへ宛書簡
To Alexander本書は、アテナイの弁論家イソクラテスが、マケドニアの若き王子アレクサンドロス(後のアレクサンドロス大王)に向けて送った親書である。著者がアレクサンドロスの父フィリッポス2世に宛てた手紙に添える形で執筆された。本文においてイソクラテスは、若いアレクサンドロスが実りのない論争的な哲学(エリスティケー)を避け、実際の国政に役立つ実用的な言論の教育を学んでいることを高く称賛する。そして、その優れた教育と天賦の才が結びつくことで、将来偉大な統治者となるだろうという強い期待を表明する。短い書簡ながらも、将来の指導者にふさわしい学問のあり方を提示し、若い受取人への温かい激励と期待をもって締めくくられる。
散文・その他文芸1 チャンク · §536 対訳文読む →アンティパトロス宛書簡
To Antipater本作は、マケドニアの権力者アンティパトロスに対して送られた推薦の書簡です。著者はディオドトスという人物を推薦する中で、支配者にとって「率直な言論(パレーシア)」がどれほど有益で重要であるかを説きます。単なるお世辞ではなく、真実を語る者が指導者にとって真の味方であるという議論が展開されます。さらに、著者はディオドトスとその息子の保護と安全の確保を熱心に懇願します。最後には、この手紙の長さや表現の率直さに対する配慮を求めつつ締めくくられます。権力者と賢者の関係性や、推薦状としての礼儀が示された作品です。
散文・その他文芸2 チャンク · §4#1–§4#2110 対訳文読む →アルキダモス宛書簡
To Archidamus本作は、アテナイの弁論家イソクラテスがスパルタ王アルキダモスに宛てた書簡である。著者は単なる追従や安易な称賛を退け、ギリシア世界が直面する危機の解決という困難だが名誉ある助言を提示する。当時、各地で放浪する傭兵団の脅威や、小アジアのギリシア諸都市が置かれた悲惨な窮状は深刻な問題となっていた。イソクラテスは、アルキダモスの父アゲシラオスの失敗から教訓を得るよう促しつつ、スパルタ王こそがギリシア諸ポリスを和解させ、東方の蛮族に対する遠征を主導すべきだと説く。八十歳を超えた自身の言論の力と、若き王の実践力を結びつけ、ギリシアの救済という大業を成し遂げるよう強く促す熱意に満ちた一編である。
散文・その他文芸2 チャンク · §9#1–§9#2158 対訳文読む →デモニコスに与う
To Demonicus本作は、若きデモニコスに向けて、人生を賢明かつ高潔に生きるための具体的な道徳的教訓を授ける勧告の書簡です。筆者はまず、デモニコスの亡き父ヒッポニコスの立派な生涯を最高の模範として提示し、美徳の価値を強調します。続いて、神々への敬虔さ、親や友人への態度、知性と身体の鍛錬、そして言葉を学ぶことの重要性など、青年が身につけるべき基本的な品性を説きます。さらに議論は、富への節度や情欲のコントロール、他者との交際における誠実さ、社会や官職における慎重な振る舞いといった、実践的な処世術へと及びます。最後に筆者は、あらゆる智者から有益な教えをミツバチのように貪欲に吸収することの重要性を説き、徳に基づいた真の快楽を得て天性の欠点を克服するよう促して締めくくります。
散文・その他文芸6 チャンク · §1-9–§44-52661 対訳文読む →ディオニュシオス宛書簡
To Dionysius本書は、アテナイの弁論家イソクラテスが、シラクサの強力な僭主ディオニュシオス1世に宛てて送った書簡体の作品です。著者は、自身が直接訪問する代わりに書簡という手段を選んだ理由を説明し、自らの思想や言論が持つ高い価値を強調します。彼は、ギリシア世界の平和と団結、そしてペルシアに対する共同の取り組みといった重大な政治的課題を見据え、ディオニュシオスに対して自らの提言に耳を傾けるよう促します。作品を通じて、著者は自身の老齢や身体的限界に触れつつも、書面を通じて僭主の政治的決断に影響を与えようと試みています。最終的に、自らの議論の重要性を説き、それを受け入れるよう呼びかける構成となっています。
散文・その他文芸1 チャンク · §185 対訳文読む →ニコクレスに与う
To Nicocles本作は、キプロス島のサラミスの若き王ニコクレスに対し、君主としての理想的なあり方と具体的な統治の指針を授ける演説です。著者は冒頭で、王への物質的な贈り物よりも、統治のための知恵を与えることこそが最も価値ある贈り物であると宣言します。そして、国家を維持・発展させるために、王自身がまず自らの魂を鍛え、知性を磨くべきであると説きます。さらに、民衆への愛や公正な法の整備、適切な友人の選び方、自己制御、そして威厳と親しみやすさの調和など、実践的な統治の心得が具体的に示されます。終盤では、一般の人々が快楽や甘言を好むのに対し、真の支配者は哲学と経験を通じて徳を体得し、優れた助言者の言葉を重んじて不朽の名声を残すよう強く求めています。
弁論・修辞学6 チャンク · §1-8–§46-54534 対訳文読む →フィリッポス宛書簡1
To Philip本作は、アテナイの弁論家イソクラテスがマケドニア王フィリッポス2世に宛てた、国家の針路と王の安全を説く書簡形式の弁論です。著者はまず、フィリッポスが無謀な戦闘で命を危険にさらしていることを戒め、君主の安全確保こそが国力を維持し勝利を得る鍵であると主張します。歴史上の事例を引き合いに出しながら、周辺の部族との小競り合いを収め、ペルシア遠征という大業に専念するよう王に促します。さらに、この遠征を成功に導くためには、アテナイとの友好関係を築くことが極めて重要であると説きます。アテナイの支持を得ることが王の権力を盤石にし、真の幸福をもたらすという主張を通じて、ギリシア世界の協調と大国ペルシアへの対抗という著者の政治的ヴィジョンが示されています。
弁論・修辞学2 チャンク · §2#1–§2#2216 対訳文読む →フィリッポスへの手紙2
To Philip II本作は、古代ギリシアの弁論家イソクラテスがマケドニア王フィリッポス2世に宛てて執筆した書簡(第3書簡)です。カイロネイアの戦い(紀元前338年)の直後という重大な歴史的局面を舞台とし、老境の著者が王に対して直接語りかける形式をとっています。著者はまず、ギリシア諸ポリスが和平に合意した現在の状況こそ、かねてより自身が提唱してきた全ギリシアの和合(パン・ヘレニズム)を実現する好機であると説きます。そして、内和を達成した上で、共通の敵であるアジアのペルシア帝国に対する遠征を主導するようフィリッポスに強く促します。この大業を完成させることこそが王にふさわしい不滅の名声をもたらすと結論づけ、自身の人生の最期にこの理想の実現を託しています。
散文・その他文芸1 チャンク · §368 対訳文読む →イアソンの子ら宛書簡
To the Children of Jason本作は、古代アテナイの修辞学者イソクラテスが、テッサリアの支配者であったフェライのジェイソンの子供たちに宛てた書簡です。著者は、自らの高齢とアテナイの政治情勢を理由に彼らからの訪問の誘いを断りつつも、書簡を通じて彼らにとって有益な政治的・道徳的助言を与えることを試みます。手紙の中で著者は、何事においてもまず基本方針を明確に定め、すべての行動をその方針に合致させることが重要であると説きます。さらに、一見華やかに思える僭主(テュランノス)としての支配的な人生よりも、私的な市民としての人生のほうが本質的に優れていると主張します。最後に、僭主政治の利益だけを貪ろうとしてへつらう周囲の者たちの欺瞞を批判し、若き相続者たちに賢明な生き方を選択するよう促しています。
散文・その他文芸2 チャンク · §6#1–§6#2164 対訳文読む →ミュティレネ人の支配者たち宛書簡
To the Rulers of the Mytileneans本作は、レスボス島の都市ミュティレネの支配者たちに宛てて書かれた、請願の書簡です。著者は、自身の義理の孫たちの優れた音楽教師であるアゲノルとその家族の追放を解除し、帰国を許すよう熱心に懇願しています。手紙の中で著者は、アゲノルの人格と音楽家としての卓越した才能を称え、彼のような人物を呼び戻すことがいかに有益であるかを説きます。さらに、文化や芸術を保護し、知的先駆者を重用することが、国家の繁栄や支配者自身の不朽の名声につながると主張します。個人的な嘆願の形式をとりながらも、国家における教育と文化の価値を論理的に訴えかける構成となっています。
散文・その他文芸1 チャンク · §8103 対訳文読む →銀行家
Trapeziticus本作は、アテナイの著名な両替商パシオン(Pasion)を相手取り、預託した金の返還を求める法廷弁論である。原告は、黒海沿岸のボスポロス王国からアテナイにやってきた若い異邦人であり、本国での政治的危機から財産を隠匿するために、パシオンの銀行に資金を預けた。しかし、パシオンは原告の窮地を利用して預託金の存在を否定し、その金を横領しようとした。弁論の中で原告は、パシオンが事件の真相を知る奴隷の拷問(糾問)を頑なに拒否したことや、預託に関する合意契約書を改ざんしたことなど、彼の悪質な欺瞞と矛盾を次々と暴いていく。様々な証言や間接的証拠を提示しながら、原告はパシオンの不誠実さを論証し、最後にアテナイの裁判員に対して公正な判決を下すよう懇願する。
弁論・修辞学7 チャンク · §1-8–§49-58613 対訳文読む →

