エウリピデス
Euripides
ギリシア語 · 演劇 · 悲劇 · サテュロス劇 · 悲劇; 詩歌
22 作品 · 66,576 対訳文
θυμὸς δὲ κρείσσων τῶν ἐμῶν βουλευμάτων.
私の激情は、私の理性的な計画よりも強い。
Medea 1079
アルケスティス
Alcestis本作は、夫アドメトスの身代わりとなって死ぬことを受け入れた高潔な妻アルケスティスをめぐる劇作品である。舞台はアドメトスの館の前であり、アポロンと死神タナトスの対話から劇が始まる。アルケスティスは夫や子供たちとの悲痛な別れの末に息を引き取り、館は深い喪に服す。その最中、英雄ヘラクレスが館を訪れ、アドメトスは悲しみを隠して彼を温かくもてなす。しかし、葬儀の場でのアドメトスと父フェレスとの醜い自己愛の応酬や、真実を知ったヘラクレスの行動により事態は一変する。ヘラクレスは自身の不作法を恥じ、死の神と戦ってアルケスティスを冥界から奪い返す。最後は、ベールに包まれた女性として妻を夫のもとへ連れ戻すことで、奇跡的な大団円を迎える。
演劇13 チャンク · §1-85–§1083-11633,002 対訳文読む →アンドロマケ
Andromache本作は、トロイア戦争の敗戦により奴隷となったアンドロマケの受難と、支配者たちの愛憎の交錯を鋭く描いたギリシア悲劇です。舞台はテッサリアのプティアであり、ネオプトレモスの奴隷となったアンドロマケと、不妊に苦しみ彼女を逆恨みする正妻ヘルミオネ、そしてその父メネラオスとの命がけの対立が中心となります。物語の前半では、神殿に身を寄せるアンドロマケが子供の命と引き換えに絶体絶命の危機に陥りますが、夫の祖父ペレウスが間一髪で介入し、窮地を脱します。しかし、その裏でヘルミオネを狙うオレステスの陰謀が動き出し、主人ネオプトレモスが旅先で暗殺されるという凶報がもたらされます。最後にペレウスが絶望に沈む中、海の女神テティスが天から現れて一族の未来と死者の救済を告げ、悲劇的な中にも神話的な救いをもって物語は幕を閉じます。
演劇15 チャンク · §1-80–§1196-12882,608 対訳文読む →ヘラクレスの子供たち
Children of Heracles本作は、大英雄ヘラクレスの死後、その子供たちが迫害の手から逃れるため、老イオラオスに率いられてアテナイに庇護を求める物語を描いたギリシア悲劇です。舞台はアテナイのマラトンにある神殿で、アルゴス王エウリュステウスの脅威に対抗し、アテナイの王デモポーンが彼らの保護を決意することから事態が動き出します。戦争を避けるための神託により、ヘラクレスの娘マカリアが自ら進んで生贄となる悲壮な決意を固める一方、老いたイオラオスは奇跡的な若返りを遂げて戦場へと赴き、敵将エウリュステウスを捕らえることに成功します。結末では、捕虜となったエウリュステウスの処遇を巡り、アテナイの法遵守とヘラクレスの母アルクメネの復讐心が対立し、妥協的な処刑によって幕が閉じられます。
演劇13 チャンク · §1-79–§976-10552,406 対訳文読む →キュクロプス
Cyclops本作は、ホメロスの『オデュッセイア』に登場する隻眼の巨人キュクロプス(ポリュペモス)の物語を題材とした、古代ギリシア演劇において現存する唯一の完全なサテュロス劇です。舞台はエトナ山の麓で、シレノスとサテュロスの一行が巨人の奴隷として囚われているところへ、漂流したオデュッセウスとその部下たちが到着します。オデュッセウスは食料とワインの交易を試みますが、帰還した傲慢なキュクロプスは神々の掟を無視して部下たちを貪り食ってしまいます。窮地に陥ったオデュッセウスは、巨人を極上のワインで泥酔させ、その隙に熱した木棒で唯一の目を突き潰すという大胆な復讐計画を企てます。サテュロスたちの滑稽な言動や裏切りに翻弄されつつも、オデュッセウスは知略を用いて「誰でもない」という偽名で巨人を混乱させ、見事に脱出を果たします。最終的にオデュッセウスは本名を名乗り、解放されたサテュロスたちを連れて島を去ることで、劇は賑やかに幕を閉じます。
演劇8 チャンク · §1-102–§625-7092,147 対訳文読む →エレクトラ
Electra本作は、父アガメムノンの非道な殺害に対する姉弟の凄惨な復讐劇を描いたギリシア悲劇です。舞台はアルゴス郊外の貧しい農夫の家であり、身分を落とされ不本意な結婚を強いられたエレクトラが、自らの不幸と父の死を嘆く場面から始まります。そこへ密かに帰国した弟オレステスが素性を隠して現れ、老養育係の助けを得て姉弟は奇跡的な再会を果たします。二人は復讐を誓い、オレステスがアイギストスを討ち果たし、エレクトラは偽の出産報告で母クリュタイムネストラを誘い出します。オレステスは母殺しの神託に激しく葛藤しながらも、エレクトラと共に母を殺害します。しかし、復讐を成し遂げた二人に残されたのは深い罪悪感と苦悩であり、最後に現れた双子神ディオスコーロイによって、それぞれの流転の運命と別れが告げられます。
演劇15 チャンク · §1-84–§1254-13592,888 対訳文読む →『オレステス』第1スタシモン
First Stasimon of Orestes本作は、ギリシア悲劇における合唱隊(コロス)の歌であり、母殺しの罪に問われ、復讐の女神たちによって狂気に陥ったオレステスの苦難を描いている。劇のなかで合唱隊は、彼に襲いかかる狂気と苦痛を、大海原を進む快速船が突如として猛烈な嵐に襲われる様子に譬えて表現する。彼らは、かつて栄華を極めたタンタロスの一族に生じた悲劇的な運命を深く哀れみ、神々の意志と人間の脆さに対して嘆きの声をあげる。短いながらも緊迫感に満ちたこの合唱歌は、逃れられない罪の重さと、それに翻弄される人間の悲惨さを強烈に印象づける。
演劇1 チャンク · §112 対訳文読む →断片
Fragments本作は、古代ギリシア悲劇(主にエウリピデスの散逸した劇)から伝承された膨大な断片や格言を集めた作品群である。収録された断片は、富と貧困、老い、愛の力、運命の受容といった普遍的な倫理的・哲学的省察から、劇的な神話の場面まで多岐にわたる。前半では、アンドロメダの救出劇やアムピオンとゼトスの論争などが展開され、人間の限界や運命の不確実性が説かれる。中盤以降も、自国のために娘を犠牲にする母親の決意や、ファエトンの悲劇的な墜死といった、感情を揺さぶる劇的対話が描かれている。さらに、自然哲学的な死生観や神々の不条理な裁きに対する問いかけも繰り返される。全体を通じて、不条理な現実に直面する人間が抱く普遍的な知恵と葛藤が、鮮烈な詩句と対話によって描き出されている。
断片テクスト35 チャンク · §1-42–§1110-11326,203 対訳文読む →ヘカベ
Hecuba本作は、トロイア陥落後の悲惨な運命に翻弄される前王妃ヘカベの苦難と、壮絶な復讐を描いたギリシア悲劇です。舞台はトロイア対岸のトラキアの海岸。ヘカベはまず、最愛の娘ポリュクセネをギリシア軍の英雄アキレウスの生贄として奪われます。娘が誇り高く死を受け入れた直後、ヘカベは、同盟者であったトラキア王ポリュメストルに預けていた息子ポリュドロスが黄金欲しさに惨殺されていた事実を知ります。二重の絶望に直面したヘカベは、ギリシア総大将アガメムノンの黙認を得て、冷酷な復讐を計画します。彼女はポリュメストルと彼の子らをおびき寄せ、トロイアの捕虜女性たちとともに子どもたちを殺害し、王の目を潰します。最後はアガメムノンの審判により、裏切り者のトラキア王は孤島に流され、復讐を果たしたヘカベたちもまた哀しい予言と余韻を残しながら、ギリシアへの帰途に就きます。
演劇15 チャンク · §1-92–§1221-12952,922 対訳文読む →ヘレネ
Helen本作は、トロイア戦争の原因となった美女ヘレネが実はエジプトに留め置かれており、戦地に向かったのは彼女の幻影だったという設定のもとに展開するギリシア悲劇である。舞台はエジプトの王宮前で、貞潔を守り続けるヘレネのもとに、難破した夫メネラオスが漂着することから物語が大きく動き出す。当初、メネラオスは目の前の妻が本物であると信じられないが、幻影の消滅によって真実を悟り、二人は劇的な再会を果たす。その後、ヘレネを妻にしようと狙うエジプト王テオクリュメノスを欺くため、二人は偽の海難葬儀を利用した命がけの脱出計画を立案する。この計略は見事に成功し、最後は天から降臨した双子の神ディオスクロイが王の怒りを静めることで、夫婦の無事な帰国と和解がもたらされて幕を閉じる。
演劇20 チャンク · §1-80–§1619-16924,154 対訳文読む →ヘラクレス
Heracles本作は、ギリシア神話の偉大な英雄ヘラクレスが直面する、過酷な運命と人間としての生への闘いを描いたギリシア悲劇である。舞台はテーバイ。ヘラクレスの不在中、王位を奪った僭主リュコスが彼の老父アンピトリュオンと妻メガラ、そして子供たちの殺害を企てる。窮地に陥った家族の前にヘラクレスが冥府から奇跡的に帰還し、リュコスを討ち果たして家族を救う。しかし、勝利の喜びも束の間、女神ヘラの呪いによって狂気の女神リュッサ(Lyssa)が送り込まれ、ヘラクレスは狂気に陥り自らの妻子を虐殺してしまう。正気に戻り絶望した彼は自殺を決意するが、親友のテセウス(Theseus)に説得され、運命に立ち向かいアテナイへと旅立つ。神々の不条理と、それに抗い生き抜こうとする英雄の意志が描かれる。
演劇16 チャンク · §1-85–§1350-14283,216 対訳文読む →ヒッポリュトス
Hippolytus本作は、愛の女神アプロディテを軽んじ、処女神アルテミスへの信仰と自らの純潔を誇る青年ヒッポリュトスへの、神の恐るべき復讐を描いたギリシア悲劇です。舞台はトロイゼンであり、ヒッポリュトスの義母パイドラが彼への禁断の愛に苛まれることから悲劇が始まります。パイドラは自身の高潔さを保つために死を決意しますが、その際にヒッポリュトスから襲われたとする偽りの書き置きを残します。これを信じた父テセウスは、怒りに駆られてポセイドンの呪いを用い、息子を追放して破滅へと追いやります。瀕死の重傷を負ったヒッポリュトスが運ばれる中、アルテミスが降臨してすべての真相を明らかにします。最後に親子は悲しみの中で和解し、ヒッポリュトスは息を引き取るという、神々の冷酷さと人間の尊厳が対比される結末を迎えます。
演劇16 チャンク · §1-93–§1379-14663,271 対訳文読む →イオン
Ion本作は、デルポイのアポロン神殿を舞台に、出生の秘密を抱える若者と、我が子を失ったアテナイ王女の数奇な運命を描いたギリシア悲劇です。主人公のイオン(Iōn)は、神殿の奉仕者として平和に暮らしていましたが、子宝を願うアテナイの王女クレウサ(Kreousa)とその夫クスートスが参拝に訪れたことで運命が大きく動き出します。夫のクスートスは神託によってイオンを我が子と思い込み、アテナイに連れ帰ろうとしますが、それを知ったクレウサは夫の裏切りに絶望し、素性を知らないイオンの毒殺を共謀します。陰謀は危ういところで露見し、怒ったイオンによってクレウサが追いつめられるという緊迫した状況に陥ります。しかし、イオンが赤子の頃に残された遺品をきっかけに、二人は失われた実の母子であったことが判明し、奇跡的な再会を果たします。最終的には女神アテナ(Athēna)が降臨してアポロンの意図とイオンの輝かしい未来を告げ、彼らは和解と喜びのうちに神殿を後にします。
演劇19 チャンク · §1-83–§1547-16224,328 対訳文読む →アウリスのイピゲネイア
Iphigenia in Aulis本作は、トロイア遠征を前にアウリスの港に足止めされたギリシア軍を率いる総大将アガメムノンと、神の怒りを鎮めるための生贄として呼び出されたその娘イフィゲネイアの悲劇を描いたギリシア悲劇です。出航の順風を得るため娘を犠牲にせねばならないアガメムノンは、アキレウスとの婚礼という偽りの口実で彼女を呼び寄せますが、その欺瞞はやがて妻クリュタイムネストラやアキレウス本人の知るところとなります。陰謀の暴露とアキレウスの介入により一触即発の事態となる中、母親や娘はアガメムノンに命乞いと説得を試みますが、戦争を熱望する軍全体の圧力の前に逃れられぬ運命が提示されます。絶望的な状況下で、イフィゲネイアは自ら無駄な流血を避けてギリシアの栄光のために犠牲を受け入れるという崇高な決断を下します。最終的に祭壇へ進んだ彼女は、刃が振り下ろされた瞬間に身代わりの鹿と入れ替わって神に救われ、ギリシア軍はトロイアへと出航していくという劇的な結末を迎えます。
演劇19 チャンク · §49-22–§1552-16293,953 対訳文読む →タウリケのイピゲネイア
Iphigenia in Tauris本作は、アウリスで生贄にされかけたものの女神アルテミスに救われ、未開の地タウロイの神官となったギリシアの王女イフィゲネイア(イピゲネイア)を主人公とする悲劇である。彼女は不吉な夢に怯えながら、捕らえられたギリシア人を神の生贄に捧げる過酷な任務を務めていた。そこへ、母殺しの罪の呪いから逃れるためにアルテミス像を奪いに来た、実の弟オレステスとその友人ピュラデスが捕らえられて連行されてくる。互いの素性を知らないまま対面した姉弟は、故郷への手紙を契機に劇的な再会を果たし、ともにタウロイから脱出するための大胆な計略を練る。イフィゲネイアは生贄の穢れを清めるという口実でトアス王を欺き、神像を携えて船での逃亡を試みる。一度は逆風に阻まれて窮地に陥るものの、最終的に女神アテナが降臨して王の追跡を退け、姉弟の帰還と神像の安置を約束して大団円へと導く。
演劇17 チャンク · §1-82–§1414-14993,464 対訳文読む →書簡集
Letters本作は、アテナイの悲劇詩人エウリピデスが、マケドニアのアルケラオス王の宮廷に赴いた時期を背景に、友人や王へと宛てて綴ったとされる書簡集です。書簡の中で筆者は、他者からの多額の資金や贈り物を辞退し、自足(アウタルケイア)の精神を重んじる自身の倫理的態度を繰り返し強調します。また、同時代の劇作家ソポクレスの海難事故を見舞い、彼の無事を喜ぶといった、アテナイの知識人同士の連帯も描かれます。さらに、アルケラオス王に対しては、学者や芸術家を厚遇する人道的な支配者としての統治を称賛します。後半では、老境にあって富を求めてマケドニアに下ったという世間の批判に対し、金銭欲や権力欲を否定し、高潔な動機から宮廷に滞在していることを強く弁明しています。
散文・その他文芸6 チャンク · §1.1-1.2–§5.4-5.6280 対訳文読む →メデイア
Medea本作は、夫の裏切りに直面した異邦人の女性メディアの壮絶な復讐劇を描いた古典ギリシア悲劇です。舞台はコリントス。かつてメディアの献身によって栄光を得た夫イアソンが、王クレオンの娘と新たに結婚し、メディアと子供たちを追放しようとすることから物語は始まります。絶望と激怒のなか、メディアは一日だけの滞在猶予を勝ち取り、さらにアテナイ王から亡命の約束を取り付けて復讐を計画します。彼女はイアソンを欺いて和解を装い、子供たちを介して新婦へ毒入りの贈り物を届けさせ、新婦と王を無残に殺害します。そして、我が子への愛と復讐心の激しい葛藤の末、メディアは自らの手で子供たちを殺害するという究極の決断を下します。最期に彼女は、太陽神の戦車に乗って絶望するイアソンの前から立ち去り、人間の激情(トゥモス)がもたらす悲劇の深淵を浮き彫りにします。
演劇16 チャンク · §1-86–§1333-14193,104 対訳文読む →オレステス
Orestes本作は、父アガメムノンの仇討ちとして実母を殺害したオレステスと、その姉エレクトラが直面する過酷な運命を描くギリシア悲劇です。母殺しの罪により狂気に苦しむオレステスは、アルゴス市民から死刑を宣告される危機に瀕しています。二人はトロイアから帰還した叔父メネラオスに救いを求めますが、裏切りに遭い、民会で自決を命じられてしまいます。絶望した姉弟は、忠実な友ピュラデスとともに、メネラオスへの復讐としてその妻ヘレネの暗殺と娘ヘルミオネの拉致を企てます。計画は混乱を極め、屋根の上で人質を盾にメネラオスと対峙する一触即発の事態となりますが、最終的にアポロン神が突如現れて神託を授け、争いに終止符が打たれます。
演劇20 チャンク · §1-82–§1609-16934,246 対訳文読む →レソス
Rhesus本作は、トロイア戦争における一夜の出来事を描き、トラキアの同盟王レーソス(Rhēsos)の到来と悲劇的な死を中心とする緊迫した対話劇です。舞台は夜のトロイア陣営で、ヘクトルがギリシア軍の不穏な動きに対処するなか、偵察員としてドロンが敵陣へ派遣されます。そこへ遅れて現れたレーソスは、自らの強力な軍勢を誇って勝利を豪語し、ヘクトルから陣地を割り当てられます。しかし、アカイア軍から潜入したオデュッセウスとディオメデスがアテナ女神の導きでレーソスを夜襲し、彼を暗殺してしまいます。レーソスの御者はヘクトルの裏切りを疑って激しく対立しますが、最後にはレーソスの母である文芸の女神ミューズが降臨し、事件の真相と悲しみを語ります。作品は、神々の思惑に翻弄される人間の運命を描きつつ、ヘクトルが夜明けとともにギリシア軍へ総攻撃を命じる場面で幕を閉じます。
演劇11 チャンク · §1-96–§909-9962,195 対訳文読む →バッコスの信女
The Bacchae本作は、新神ディオニュソスの神性を拒むテバイの王ペンテウスと、自らの崇拝を要求する神との破滅的な対立を描いたギリシア悲劇です。舞台となるテバイに降臨したディオニュソスは、自らを侮辱する王家への復讐として、街の女性たちを狂乱させてキタイロン山へと奔らせます。王ペンテウスは新興の宗教を弾圧しようとしますが、人間の姿に変装したディオニュソスに翻弄され、女たちの儀式を偵察するために自らも女装して山へと向かいます。しかし、山中でペンテウスは、狂気にとらわれた実の母アガウエらの手によって無残に八つ裂きにされてしまいます。やがて正気に戻ったアガウエが息子の死という過酷な現実を悟る中、最後に神としての姿を現したディオニュソスが一族にさらなる追放の神罰を宣告し、悲痛な別れとともに劇は結ばれます。
演劇15 チャンク · §1-100–§1304-13922,928 対訳文読む →フェニキアの女たち
The Phoenician Women本作は、オイディプス王の悲劇ののち、テーバイの王位を巡って争う二人の息子、エテオクレスとポリュネイケスの骨肉の争いを描いたギリシア悲劇です。アルゴス勢を率いて祖国に迫るポリュネイケスと、王権を譲らないエテオクレスに対し、母イオカステは和解を試みますが、二人の野心と憎悪は決裂を招き、戦争へと突入します。戦況が激化する中、国を救うための若きメノイケウスの自己犠牲や、凄惨な攻防戦が繰り繰り広げられます。最終的に兄弟は一対一の決闘で相打ちとなり、悲嘆に暮れた母も命を絶ちます。最後は、新たに支配者となったクレオンによるオイディプスの追放と、アンティゴネが盲目の父に付き従って旅立つ場面で、一族の過酷な運命を浮き彫りにしながら幕を閉じます。
演劇20 チャンク · §1-83–§1673-17663,978 対訳文読む →嘆願する女たち
The Suppliants本作は、テーバイとの戦いで敗死したアルゴス将兵の遺体回収と埋葬をめぐる葛藤を描いた悲劇である。エレウシースの神殿を舞台に、戦死者の母親たちがアテナイ王テーセウスの母アイトラに哀訴し、アルゴス王アドラストスもまたテーセウスに助力を求める。テーセウスは当初、無謀な戦争を起こしたアルゴス側を批判して拒絶するが、母アイトラの説得によって神聖な法と人道主義のために介入を決意する。テーバイの使者との民主政と僭主政をめぐる激しい政治的論争を経て、アテナイは武力行使によって遺体を取り戻すことに成功する。悲痛な葬儀の最中には、将軍カパネウスの妻エウアドネーが夫の火葬壇に身を投げるという悲劇も重なり、戦争の虚しさと悲惨さが強調される。最後には女神アテーナーが現れ、戦死者の遺灰を手にした子供たちに将来の復讐を促す誓約を結ばせ、深い哀悼の中で劇は幕を閉じる。
演劇14 チャンク · §1-95–§1147-12342,537 対訳文読む →トロイアの女たち
The Trojan Women本作は、トロイア戦争の終結直後、敗北したトロイアの女性たちが辿る悲惨な運命を描いた悲劇です。舞台は陥落し灰燼に帰したトロイアの海岸であり、元王妃ヘカベを中心に、カサンドラやアンドロマケといった女性たちが、ギリシア軍の奴隷として分配されていく過酷な現実が描かれます。冒頭では、神々がギリシア軍の非道に対して復讐を誓いますが、地上の人間たちは神の介入を知らぬまま絶望の淵に立たされます。物語が進むにつれ、カサンドラの不吉な予言や、アンドロマケの幼子アスティアナクスの非情な処刑など、容赦ない悲劇が次々と女たちを襲います。戦争の原因となったヘレネをめぐる裁判的な対話を経て、最終的にアスティアナクスの遺骸を盾に載せて埋葬したヘカベたちは、炎上する祖国に最後の別れを告げ、奴隷としての船出へと連れ去られていきます。
演劇14 チャンク · §1-84–§1233-13322,734 対訳文読む →

