ソポクレス
Sophocles
ギリシア語 · 演劇 · 悲劇 · サテュロス劇; 断片テクスト · 断片
8 作品 · 23,636 対訳文
πολλὰ τὰ δεινὰ κοὐδὲν ἀνθρώπου δεινότερον πέλει.
恐るべきものは数多くあれど、人間ほど恐るべきものは存在しない。
Antigone 332
アイアス
Ajax本作は、トロイア戦争でアキレウスの遺品をめぐる争いに敗れ、狂気と絶望に苛まれた高潔な英雄アイアースの没落と死、そしてその名誉の回復を描いたギリシア悲劇です。怒りから味方の将軍たちを殺そうとしたアイアースは、女神アテナの介入により狂気に陥り、家畜を敵と誤認して虐殺する失態を犯します。正気に戻った彼は、極限の屈辱と絶望から自死を決意し、妻テクメーッサや幼い息子の必死の説得を退け、ヘクトールから贈られた剣で自害を遂げます。彼の死後、異母弟テウクロスは遺体の埋葬を望みますが、ギリシア軍の指導者メネラーオスとアガメムノンは彼を謀反人として埋葬することを厳しく禁じ、激しい対立が生じます。最終的に、かつての好敵手であったオデュッセウスが仲裁に入り、敵であっても敬意を払うべきであるとアガメムノンを説得したことで埋葬が許され、アイアースは厳かに送り出されます。
演劇16 チャンク · §1-82–§1340-14203,152 対訳文読む →アンティゴネ
Antigone本作は、国法を優先する統治者と、神々の不変の法を遵守しようとする個人の対立を描いたギリシア悲劇です。舞台はテーバイの王宮前で、新王クレオンと、王命に背いて逆賊の兄ポリュネイケースを埋葬しようとする姪アンティゴネーを中心に展開します。アンティゴネーは妹の制止を振り切り単独で埋葬を行いますが、捕らえられてクレオンと激しく対立し、岩穴への生きたままの幽閉を宣告されます。クレオンの息子ハイモーンの説得も虚しく議論は平行線をたどりますが、予言者テイレシアースの不吉な警告を受けて王はついに方針を翻します。しかし時すでに遅く、アンティゴネーとハイモーン、さらに王妃までもが自死を遂げます。すべてを失い絶望するクレオンの姿を通じ、人間の思慮深さと傲慢の克服の重要性が描き出されます。
演劇15 チャンク · §1-78–§1250-13532,490 対訳文読む →エレクトラ
Electra本作は、トロイア戦争の英雄である父アガメムノンを殺害された王女エレクトラの、深く激しい哀悼と復讐への妄執を描いたギリシア悲劇である。主人公のエレクトラは、母クリュタイムネストラとその不倫相手アイギストスによる虐待に耐えながら、生き別れの弟オレステスの帰還を待ち望んでいる。物語は、身分を隠して帰国したオレステスが、自らの「死」を偽装して館に潜入を図ることから大きく動き出す。弟の偽の死報に絶望したエレクトラは、妹クリュソテミスの制止を振り切り単独での復讐を誓うが、そこに骨壺を持ったオレステス自身が現れ、劇的な再会を果たす。正体を知った姉弟は固い決意のもとで復讐を実行に移し、母、そしてアイギストスを次々と葬り去る。血で血を洗う宿命の連鎖の中で、正義の遂行と家族殺しの葛藤が緊迫感あふれる対話と劇的な構成によって描き出される。
演劇17 チャンク · §1-87–§1431-15103,497 対訳文読む →コロノスのオイディプス
Oedipus at Colonus本作は、悲劇的な運命によって盲目となった前テーバイ王オイディプスの最期の日々を描いたギリシア悲劇です。娘アンティゴネに導かれた流浪のオイディプスは、アテナイ近郊のコロノスにある復讐の女神たち(エウメニデス)の聖域に到着します。そこで彼はアテナイの賢王テセウスに庇護を求め、自らの死後に墓がアテナイの地を永遠に守る力となることを約束します。一方で、王位争いに勝つためにオイディプスを連れ戻そうとするテーバイのクレオンや、助力を懇願する不孝な息子ポリュネイケスが現れますが、オイディプスは彼らを烈火のごとく拒絶し、呪いを下します。テセウスの固い庇護に守られながら、ついに天からの厳かな神の合図を聞いたオイディプスは、テセウスに伴われて神秘的な最期を遂げます。残された娘たちは未来を憂いながらも、テセウスの導きで故郷テーバイへと帰路につきます。
演劇21 チャンク · §1-74–§1673-17794,306 対訳文読む →オイディプス王
Oedipus Rex本作は、過酷な運命に翻弄される人間の悲劇を描いた、古代ギリシア悲劇を代表する戯曲です。物語は、疫病に苦しむテバイの街を救うため、国王オイディプスが先王ライオス殺害の犯人捜索を誓うところから始まります。盲目の預言者テイレシアスの警告や王妃イオカステの制止を退け、オイディプスは自らの知恵を信じて執拗に真相を追究します。しかし、コリントスからの使者やかつての羊飼いの証言によって、自らこそが実の父を殺し、実の母を妻に娶った犯人であるという恐るべき真実が暴かれます。絶望したイオカステは自死を遂げ、オイディプスは自らの両眼を突き潰して盲目となり、哀れな姿で放浪の旅へと赴きます。自らの出生の謎を解き明かそうとする高潔な探求が、そのまま破滅へと直結していく、人間の運命の儚さと不可避の悲劇を描き出しています。
演劇19 チャンク · §1-79–§1458-15303,419 対訳文読む →ピロクテテス
Philoctetes本作は、トロイア戦争のさなか、無人島レムノスに置き去りにされた英雄フィロクテテスと、彼の持つ無敵の弓をめぐる葛藤を描いた劇作品です。ギリシア軍の将オデュッセウスと、アキレウスの息子である若き戦士ネオプトレモスは、トロイア攻略に不可欠なその弓を奪うべく計略を企てます。ネオプトレモスは病苦に喘ぐフィロクテテスの信頼を勝ち取って弓を預かるものの、自らの欺瞞に対する激しい良心の呵責に苛まれ、やがて真実を打ち明けて弓を返還します。その後、ネオプトレモスはトロイアへ同行すれば病が癒え栄光を掴めるとフィロクテテスを説得しますが、積年の怨恨を抱く彼はこれを頑なに拒み、故郷への帰還を求めます。最後には、神格化されたヘラクレスが天から現れて神々の意志を伝えたことで、フィロクテテスは運命を受け入れ、トロイアへ向けて出港します。
演劇18 チャンク · §1-78–§1386-14713,143 対訳文読む →イクネウタイ(追跡者たち)
The Trackers本作は、アポロンの盗まれた牛たちの捜索を巡る、古代ギリシアのサテュロス劇です。神アポロンが約束した莫大な報酬と自由を求め、シレノスとサテュロスたちのコーラスが捜索に乗り出します。彼らは不審な逆向きの足跡を発見し、未知の不気味な音に怯えながらも捜索を続けます。やがて彼らが音の源である洞窟を叩いて騒ぎ立てると、ニンフのキュレネが現れ、洞窟内にいる幼子ヘルメスの誕生と、彼が亀の甲羅から甘美な音を奏でる「竪琴(リュラ)」を発明したことを語ります。サテュロスたちは、この新たなる楽器の発明者こそが牛を盗んだ犯人であると看破し、キュレネと激しい議論を交わします。現存する断片は、彼らが牛の泥棒を確信するこの対峙の場面で幕を閉じます。
演劇5 チャンク · §1-94–§314b-419907 対訳文読む →トラキスの女たち
Women of Trachis本作は、ギリシア神話最大の英雄ヘラクレスの最期と、夫を深く愛しながらも悲劇的な結末を招いてしまった妻デイアネイラの運命を描く悲劇である。物語はトラキスを舞台に、長らく不在の夫を案じるデイアネイラの苦悩から始まる。やがてヘラクレスの生存と勝利が報じられるが、同時に彼が若き王女イオレを愛妾として連れ帰ることを知り、デイアネイラは激しく動揺する。夫の愛を取り戻そうと、彼女はかつてケンタウロスから授かった秘薬を塗った衣を夫に贈るが、それは恐るべき毒薬であった。夫が瀕死の苦痛に悶えていることを知ったデイアネイラは絶望して自刃し、同じく自らの運命の成就を悟ったヘラクレスは、息子ヒュロスに後事を託して最期の地へと向かう。
演劇15 チャンク · §1-77–§1197-12782,722 対訳文読む →

