スエトニウス
Suetonius
ラテン語 · 歴史・地理 · 伝記
11 作品 · 11,206 対訳文
カリグラ
Caligula本書は、ローマ帝国第3代皇帝ガイウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス、通称「カリグラ」の生涯と、その極端な変貌を描いた伝記である。物語は、非凡な美徳を持ちながら早逝した高潔な父ゲルマニクスの死と、市民の深い哀悼から始まる。カリグラは兵士たちに愛されて育ち、前皇帝ティベリウスの死後、民衆の熱狂的な歓迎を受けて帝位を継承した。即位当初は寛大な政策で絶大な支持を得たものの、やがて自らを神格化して狂気と残虐性に支配され、親族の粛清や凄惨な暴政を行うようになる。奇行に満ちた遠征や贅沢による財政破綻、不条理な迫害は人々を恐怖に陥れ、最終的には近衛兵将校らの暗殺計画によって非業の死を遂げる。不吉な予兆に満ちたその最期と、独裁からの解放を模索する元老院の姿をもって作品は締めくくられる。
歴史・地理15 チャンク · §1-5–§57-601,559 対訳文読む →クラウディウス
Claudius本書は、ローマ帝国の第四代皇帝クラウディウスの生涯、治世、そしてその複雑な人間性を描いた伝記作品です。若年期の病弱さと家族からの激しい蔑視、そして歴代皇帝のもとでの不遇な隠遁生活から、ガイウス(カリグラ)の暗殺という不慮の事態によって突如として帝位に就くまでの劇的な経緯がまず描かれます。皇帝となってからは、精力的な裁判への関与やブリタニア征服、大規模な公共事業など多大な功績を残す一方で、その気まぐれな言動や、妻たちや解放奴隷に国政を牛耳られた愚鈍な姿も克明に記録されています。さらに、極端な臆病さと残酷さが同居する奇癖、その一方で歴史研究やギリシア学に没頭した教養人としての側面など、彼の多面的な個性が詳細に綴られます。最後は、妻アグリッピナによる毒殺という不吉な最期をもって、波乱に満ちた皇帝の生涯が締めくくられます。
歴史・地理13 チャンク · §1-3–§42-461,330 対訳文読む →ドミティアヌス
Domitian本作は、ローマ帝国フラウィウス朝最後の皇帝ドミティアヌスの生涯を描いた伝記である。物語は、彼の出生と放蕩に満ちた青年期、そして父や兄への嫉妬に端を発する陰謀から始まる。帝位に就いた当初、彼は豪華な見世物の開催や公共建築の再建を行い、司法や道徳の刷新に努めるなど、善悪の混ざり合った統治を行った。しかし治世の後半、財政の悪化とともに彼の残虐性と強欲が剥き出しになり、元老院議員や身内を次々と処刑し、猜疑心と恐怖に支配されるようになる。最期は、予言に怯えながらも、信頼していた近臣たちによる陰謀によって寝室で暗殺される。死後、兵士たちから慕われる一方で、元老院からはその記憶が抹消されるという、対照的な評価が下されて生涯が閉じられる。
歴史・地理7 チャンク · §1-3–§18-23701 対訳文読む →ガルバ
Galba本作は、ローマ帝国初の世襲王朝であったユリウス=クラウディウス朝の断絶後、いわゆる「四皇帝の年」の最初の皇帝となったセルウィウス・スルピキウス・ガルバの生涯を描いた伝記です。著者は、ガルバの古く高貴な家系や若き日の軍での厳格な規律、そして彼が将来帝位に就くことを告げる様々な前兆から記述を始めます。ネロに対するガリアの反乱を機に、ヒスパニア総督であったガルバは自ら決起して帝位を獲得することに成功します。しかし、皇帝としてローマに入城した彼は、貪欲さと残虐さを示し、寵臣たちの言いなりとなって一貫性のない失政を繰り返しました。兵士への恩賞を拒んだことで軍の信頼を失った彼は、養子ピソの選定によって事態を収拾しようと試みるも、オトの陰謀によって無残に殺害されます。最後は、彼の身体的特徴や私生活、そして死後の遺体の悲惨な運命が詳述され、激動の短命な治世が締めくくられます。
歴史・地理6 チャンク · §1-4–§19-23544 対訳文読む →カエサル
Julius Caesar本書は、古代ローマの偉大な政治家・軍人であるガイウス・ユリウス・カエサルの波乱に満ちた生涯を、その誕生から暗殺、そして神格化に至るまで詳細に描いた伝記作品である。物語は、カエサルの初期の私生活や軍歴、そして民衆の支持を集めて政界を昇り詰めていく過程から始まる。第一回三頭政治の結成とガリア征服を経て強大な権力を手にした彼は、元老院との対立からルビコン川を渡り、内乱へと突入する。内乱を制して独裁官となったカエサルは、数々の政治改革や壮大な事業、そして軍事的・私生活における様々な逸話を通じてその多面的な個性を発揮する。しかし、彼の傲慢な態度や権力の集中は共和派の強い反発を招き、紀元前44年の三月十五日に暗殺されるという悲劇的な結末を迎える。本書は、一人の天才の栄光と没落、そして彼の死後に訪れた神格化と暗殺者たちの運命までを冷徹かつ鮮やかに描き出している。
歴史・地理19 チャンク · §1-6–§84-891,854 対訳文読む →ネロ
Nero本書は、ローマ帝国第5代皇帝ネロ(Nero)の生涯と、その極端な性格および治世を描いた伝記作品である。前半では、ネロの先祖であるドミティウス氏族の血統から、不遇な幼少期を経て17歳で即位するまでの経緯が語られる。即位当初は寛大で好意的な統治方針を示したネロであったが、やがて音楽や演劇、戦車競技などの芸術や見世物に異常な執着を見せ、自ら舞台に立つようになる。さらにその支配は放蕩、奢侈、そして母アグリッピナや親族、知識人セネカらの粛清を伴う残虐非道なものへと変貌していく。ローマの大火を契機に人々の不満は頂点に達し、各地で反乱が勃発する。最終的に、周囲から見捨てられたネロは逃亡の末に自害を余儀なくされ、その劇的な最期と死後の人々の反応をもって本伝記は幕を閉じる。
歴史・地理15 チャンク · §1-4–§51-571,592 対訳文読む →オト
Otho本作は、ローマ帝国第7代皇帝オト(Otho)の生涯を描いた伝記作品です。高貴な家系に生まれながらも、若い頃は放蕩に耽り、ネロ帝の寵愛とポッパエアをめぐる対立を経てルシタニアへ配流された青年期から語られます。その後、皇帝ガルバの養子となれなかった失望と多額の負債からクーデターを計画し、ガルバを暗殺して帝位に就きます。しかし、ウィテリウスの反乱に直面したオトは、ベトリアクムの戦いで敗北を喫すると、これ以上の内戦による流血を避けるために潔い自決を決意します。日頃の軟弱な私生活や外見からは想像もつかない、その雄々しく高潔な最期は、兵士や人々に深い感銘を与え、称賛されました。
歴史・地理3 チャンク · §1-4–§9-12356 対訳文読む →ティベリウス
Tiberius本作は、ローマ帝国第2代皇帝ティベリウスの生涯、血統、そしてその治世における劇的な変遷を描いた伝記作品である。物語は、傲慢で知られるクラウディウス氏族の出自から始まり、青年期の軍功やロドス島での隠遁生活を経て、アウグストゥスの養子となり帝位を継承するまでを追う。即位初期のティベリウスは、元老院を尊重し、慎み深く節度ある態度で国家の安定に努める模範的な統治者として描かれる。しかし、カプリ島への隠棲を機に彼の本性は豹変し、極端な吝嗇、異常な性的放溺、そして親族や側近セヤヌス(Sejanus)をも容赦なく死に追いやる残虐な暴政へと傾倒していく。晩年は凄惨な拷問と絶え間ない猜疑心の中で精神的に困窮し、その死は民衆から歓喜をもって迎えられた。
歴史・地理18 チャンク · §1-3–§72-761,889 対訳文読む →ティトゥス
Titus本作は、ローマ帝国第10代皇帝ティトゥスの誕生から死に至るまでの生涯と、その人物像を描いた伝記作品である。前半では、ティトゥスの幼少期の優れた才能や軍歴、ユダヤ戦役での軍功が語られ、さらに父ウェスパシアヌスの共同統治者として過酷な実務を担ったことで、一時的に悪評を買った経緯が記される。しかし中盤では、皇帝即位を機に彼の評判が劇的に好転し、愛するベレニケとの離別や豪華な見世物の開催、災害時における慈悲深い救援活動などを通じて、彼が「人類の愛嬌と喜び」と称されるほどの寛大さを示したことが記述される。後半では、彼が自らを狙う陰謀者や弟ドミティアヌスに対して一貫して示した類稀な寛容さと、その矢先に訪れた早すぎる死、そして彼を悼む元老院の惜しみない賛辞が描かれて幕を閉じる。
歴史・地理3 チャンク · §1-6–§9-11285 対訳文読む →ウェスパシアヌス
Vespasian本作は、ローマ帝国フラウィウス朝の初代皇帝ウェスパシアヌス(Vespasianus)の生涯と統治を克明に描いた伝記作品である。物語は、彼の謙虚な出自と初期のキャリア、および軍人としての頭角を現しユダヤ反乱鎮圧の最高司令官に選ばれる経緯から始まる。その後、東方諸軍の支持と数々の吉兆によって皇帝に推戴され、内乱後の混乱するローマの秩序を回復していく様子が描かれる。皇帝となった彼は、軍紀の粛正、首都の復興、元老院の改革、さらには司法や社会風紀の立て直しに尽力し、その一方で寛大で批判を恐れない姿勢を保ち続けた。また、財政再建のための強欲とも評された厳しい財政政策の一方で、公共事業や芸術への支援も惜しまず、質素で規則正しい日常生活を送った。最後は、彼独特のユーモアに満ちた逸話や有名な「尿税」の言葉とともに、その最期と家系の未来への予言の成就が語られ、実直な指導者の等身大の姿が描き出されて幕を閉じる。
歴史・地理7 チャンク · §1-2–§22-25635 対訳文読む →ウィテリウス
Vitellius本作品は、ローマ帝国の「四皇帝の年」に帝位に就いたヴィテッリウス(Vitellius)の生涯を描いた歴史的伝記です。物語は、彼の家系であるヴィテッリウス家の起源をめぐる相反する二つの学説の紹介から始まり、父ルキウスら一族の経歴、そしてヴィテッリウス自身の誕生と宮廷での出世を記述します。ガルバ帝によって下ゲルマニア総督に任命された彼は、極貧のなか現地に赴くも、兵士たちに大歓迎され皇帝に擁立されます。皇帝となったヴィテッリウスの治世は、ネロを模範とした放蕩、側近の寵愛、そして「ミネルウァの盾」と呼ばれる大皿に象徴される異常な暴飲暴食と残虐な処刑によって彩られます。しかし、東方やドナウ川流域の軍団が離反したことで、彼の支配は急速に揺らぎ始めます。一度は帝位を退こうとするも支持者に引き止められ、迫り来る敵軍を前にして逃亡を図るものの捕らえられ、民衆から数々の侮辱を受けながら悲惨な最期を遂げます。
歴史・地理5 チャンク · §1-2–§15-18461 対訳文読む →

