モスコス
Moschus
ギリシア語 · 詩歌 · 牧歌・田園詩 · 断片テクスト · 断片; 詩歌
5 作品 · 989 対訳文
エウロペ
Europa本作は、フェニキアの王女エウロペが主神ゼウスに見初められ、クレーテー島へと連れ去られるギリシア神話のエピソードを美しく描いた抒情的な小叙事詩(エピュリオン)です。物語は、アプロディテから送られた奇妙な夢から目覚めたエウロペが、侍女たちを伴って海辺の草原へ花摘みに出かける場面から始まります。彼女たちが手にするヘパイストス作の黄金の籠の緻密な描写に続き、エウロペの美しさに魅了されたゼウスが、穏やかで輝かしい黄金の雄牛の姿となって近づいてきます。その優しさに誘われたエウロペが雄牛の背に乗り込むと、雄牛は突如として海へと走り出し、波の上を渡って彼女を連れ去ります。最終的にクレーテー島へと辿り着いたゼウスは、本来の神としての姿を現して彼女と結ばれ、エウロペはのちに高貴な王たちの母となる運命を受け入れます。
詩歌2 チャンク · §1-85–§86-166326 対訳文読む →断片集
Fragments本作は、ヘレニズム期の牧歌や抒情詩の伝統に連なる詩の断片群であり、平穏な自然への憧憬と、世界を支配する愛(エロス)の多様なあり方を描き出しています。各断片は神話的なモチーフや自然の描写を交えた短い詩の形式をとります。まず、危険に満ちた海での暮らしとは対照的な、森や泉のほとりで過ごす静かな田園生活の甘美さが賛美されます。続いて、パンやエコーといった神話的存在の間の交わらない片思いの連鎖が描かれ、自分を愛する者を大切にすべきだという教訓が示されます。さらに、川が海の下を潜り抜けて泉へと至る自然の奇跡や、農夫に変装したエロスがゼウスをユーモラスに脅す物語を通じ、万物を動かす愛の力が強調されます。これらの断片は、牧歌的な静けさと愛がもたらす甘美にして強力な影響力を鮮やかに伝えています。
断片テクスト4 チャンク · §4.1-4.13–§7.1-7.657 対訳文読む →メガラ
Megara本作は、ギリシア神話の英雄ヘラクレスの wife であるメガラと、その母アルクメネの対話を描いたヘレニズム期の叙事詩風の詩作です。物語は、夫ヘラクレスの狂気によって自らの子供たちを殺害されたメガラの深い嘆きから始まります。彼女は最愛の我が子を失った底知れない悲痛と、現在も過酷な難業のために不在がちで危険に身をさらしている夫への絶え間ない不安を義母に吐露します。これに対してアルクメネはメガラの悲しみに寄り添い、自らもヘラクレスへの強い愛情を語ります。さらにアルクメネは、息子が火に包まれるという不吉な夢を見たことを告白し、その災厄がヘラクレスに苦難を課すエウリュステウスに下ることを願います。英雄の陰に隠れた女性たちの悲劇と、終わりなき不安の感情が繊細に描き出されています。
詩歌2 チャンク · §1-61–§62-125224 対訳文読む →ビオンへの哀悼歌
The Lament for Bion本作は、若くして世を去った高名な牧歌詩人ビオンの死を悼む、ヘレニズム期の牧歌的哀歌(パストラル・エレジー)です。詩の冒頭で語り手は、草木や花、動物、そして川や神話のニンフたちに対し、この偉大な歌い手の喪失をともに悲しむよう呼びかけます。続いて、ビオンの才能が伝説的な詩人ホメロスに比肩するものであることが語られ、ギリシア各地の都市や自然が彼の死を深く悼んでいる様子が描き出されます。さらに、自然の植物は毎年再生するのに対し、優れた人間は一度死ねば地下で永眠するしかないという、切ない生の無常観が提示されます。最後には、オルペウスのように冥府へと下ってビオンの歌を聴き、彼を再び地上へと連れ戻したいという、叶わぬ切実な願いによって作品は締めくくられます。
詩歌2 チャンク · §1-64–§65-126287 対訳文読む →逃走したエロス
The Runaway Love本作は、美の女神アプロディテが、逃亡した我が子である愛の神エロス(クピド)を捜索するために、発見者への報酬を掲げて呼びかける愛らしい詩である。アプロディテは冒頭でエロスの逃亡を告げ、彼を連れ戻した者には自身の甘い口づけを報酬として約束する。続いて彼女は、捕縛の手がかりとしてエロスの容姿や性質を詳しく語る。それは、燃えるような肌と鋭い眼差しを持ち、語る言葉は甘くとも心は残忍で、人々を容赦なく傷つけるというものである。さらに彼が携える弓矢や松明の恐ろしさを説明した上で、アプロディテは発見者に対し、エロスの涙や甘い贈り物に騙されずに彼を縛り上げるよう強く警告して詩を結ぶ。
詩歌1 チャンク · §1-2995 対訳文読む →

